嫁入り支度「荷送り」とは？

嫁入り支度「荷送り」とは？

荷送りの基礎知識

– 荷送りの基礎知識

荷送りとは、結婚が決まった女性が新居へ持参する家財道具を送り出す、日本の伝統的な儀式です。

かつては、花嫁の支度の一つとして、布団や食器、家具など、新生活に必要なものを一通り揃えていました。これらの品々は「嫁入り道具」と呼ばれ、花嫁の新しい生活を祝うと同時に、両家の繁栄を願う気持ちが込められていました。

嫁入り道具には、女性側の家柄や経済状況を表す側面もあり、家同士の結びつきを大切にする風習でもありました。例えば、裕福な家柄の娘であれば、豪華な着物や高価な家具を贈ることで、家柄の誇りや経済的な豊かさを示しました。

時代とともに、家電製品や家具など、新生活に必要なものを夫婦で揃えることが一般的になり、荷送りの習慣も簡略化されてきました。しかし、現在でも地域によっては、伝統的な形式で荷送りが行われることがあります。

荷送りは、単に家財道具を送り出すだけでなく、新しい家庭を築く二人を祝福し、両家の絆を深めるための大切な儀式として、その心を現代に受け継いでいきたいものです。

荷送りの流れ

– 荷送りの流れ

結婚が決まると、新生活に向けての準備が始まります。
その中でも特に重要なイベントの一つが「荷送り」です。

荷送りとは、花嫁の両親が、結婚後、新しい家庭で使うために用意した家具や家電製品、寝具、食器などを新居に送ることを指します。

荷送り当日には、まず花嫁側の親族が新居へ家財道具を運び入れます。
この時、荷物の責任者を「荷宰領」と呼びます。
荷宰領は、荷物が無事に新居に届いたこと、そして、荷物が記載された「荷目録」を新郎側へ手渡す重要な役割を担います。

新郎側は、荷目録の内容を一つ一つ確認し、受領印を押した受書を花嫁側に渡します。
このように、荷物の受け渡しは、両家の間で正式な手続きを踏んで行われるのが一般的です。

かつては、結婚式の2～3週間前の吉日に行われるのが一般的でしたが、最近では、結婚式の日取りや新居の状況に合わせて、柔軟に対応するケースも増えています。

荷送りは、新生活の準備を始める喜びとともに、親元を離れる娘への親心が込められた、日本の伝統的な結婚の儀式の一つと言えるでしょう。

荷宰領と荷目録

– 荷宰領と荷目録

荷宰領とは、結婚式の際に花嫁の荷物を新郎の家へ送り届ける役目を担う人のことです。
通常は花嫁側の親族の男性が務め、荷物の管理だけでなく、新居での荷解きや配置まで責任を持って見届けました。
単なる作業員ではなく、両家の橋渡し役として、円滑な結婚生活の始まりを支える重要な役割を担っていました。

荷目録は、花嫁道具の一つ一つを細かく記録した書類です。
そこには、着物や家具、食器など、様々な品目が記され、単なるリストではなく、花嫁の家庭環境や教養、そして家柄を象徴するものとされていました。
そのため、荷目録の作成には細心の注意が払われ、美しい文字で丁寧に書き記されました。

新郎側は、荷目録の内容を確認することで、花嫁側の家柄や持参財産を把握するだけでなく、その誠意を受け取ることになります。
荷宰領と荷目録は、単なる荷物の受け渡しにとどまらず、両家の結びつきを象徴する重要な儀式として、古くから日本の結婚式において重要な役割を担ってきました。

現代における荷送り

– 現代における荷送り

かつては、結婚が決まると、女性は嫁入り道具として、家具や家電、着物、食器など、新生活に必要なものを一式揃え、大きな荷物を新居へと送り出す習慣がありました。

しかし、現代では、生活様式の変化とともに、この荷送りの習慣も大きく様変わりしています。

まず、結婚後の生活を、昔のように「女性が家庭を守る」という考え方ではなく、「夫婦で協力して築き上げていく」と考えるカップルが増えたことで、嫁入り道具を一式揃えるという習慣は減りつつあります。

現代のカップルは、家具や家電などを、自分たちのライフスタイルや好みに合わせて、二人で一緒に選ぶことを好みます。

また、都市部への人口集中や住宅事情の変化により、広々とした家に住むことが難しくなったことも、荷物を減らす要因の一つと言えるでしょう。

さらに、近年では、荷送りの儀式自体を行わず、荷物を送るだけというケースも一般的になっています。

これは、結婚式の準備などで忙しいカップルが増えていることや、簡素化志向の高まりなどが背景にあると考えられます。

このように、現代の荷送りは、かつてのような形式的なものではなく、それぞれのカップルの価値観やライフスタイルに合わせて、柔軟に変化していると言えるでしょう。